ロシア民法は、CISモデル民法を参考にしているということに触れましたが(http://kie.blogsome.com/2008/06/30/)、現在、民法第一部の改正作業が進められています。5つの改正コンセプト(総則、法人、物権法、債権法、証券・金融取引)が公開され、4月中旬に当該コンセプトにつき、第1回及び第2回協議がもたれたそうです。根本的な改正ではなく、更なる発展・調整だと言われていますが、コンセプトに挙げられた改正ポイントの数は決して少なくないように思います。

ロシア民法は4部から成り、最新の第四部は2006年に制定されましたが(2008年1月1日施行)、第一部は1994年に制定されています。1994年といえば、まだ、ソ連崩壊の混乱が残っていた時期と思われますが、そのような中、市場経済に対応した民事法令の基礎を早急に築くべく、CISモデル民法、ロシア民法やCIS諸国民法が西欧諸国の協力を得て起草されました(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスタンの民法もCISモデル民法に依っています)。

ロシアでは、それから10年程経った2004年頃から、民法第一部の改正が検討されていたそうですが、2008年7月に大統領令が出され、本格的に民法改正が始まりました。大統領令には、改正目的が6つ挙げられていますが、その中にEU法制における民事法令との調和、そして、CIS諸国の民事法令の統一促進が含まれています。コンセプトの中では、ECの法規が引用されたり、また、ドイツ、オーストリア、オランダの民法が意識されているようですが、CIS諸国の民法の関係では、どのように統一促進が進められるのか興味深いです。改正民法を他のCIS諸国に宣伝するのでしょうか。

憲法裁判所でも協議:http://kie.blogsome.com/2009/05/15/constitutional-court/

ところで、ロシアでも商法典案が用意されており(国会には提出されておらず案のまま寝かされているようです)、また、IPAでもCIS諸国向けのモデル商法典(Торговый кодекс)が起草されているようなので、今回の民法改正は、この点も踏まえたものかと思いましたが、協議では、企業活動に関しては民法の規定だけでは不十分である旨指摘はされたものの、商法典は話題に上っていないとのことです。