ウズベキスタンの倒産法はどのようなのかと聞かれれば、まず、日本法とは全く異なると答えます。どこかの法制と似ているのかと聞かれれば、ロシア倒産法とほぼ同じであり、ロシアの法制を輸入したと答えます。これらは、プロジェクトでウズ倒産法の理解に苦しんだ者の偏見が多分に含まれているので、もう少し前向きな意見もあるかもしれません。

ウズベキスタン倒産法(全192条)は、法人に対する主要手続として、会社を清算して消滅させる清算手続(Ликвидационное Производство)、会社が経営権限を保持したまま営業を継続し経営を建て直す裁判上の再生支援(Судебная Санация)、会社の経営権限を第三者に移して会社を再建する外部管財(Внешнее Управление)を用意しています。日本でいう破産手続、民事再生手続、会社更生手続に相応するように思えますが、個々の手続内容が異なるだけではなく、倒産制度のコンセプト自体が異なっているように思われます。倒産事件は、経営状態が悪化した企業を倒産者と認定することを求める申立て(昔の日本法風にいえば「破産宣告」を求める申立て)により開始されます。事件が開始されると、裁判所から任命された管財人(Судебный Управляющий)が企業の財務状況を調査し、これらの調査結果を元に、債権者が企業を清算するか再建させるかを多数決で決定します(監視手続 Наблюдение)。債権者が、企業を清算すると決め、裁判所も同様に考える場合、裁判所は、申立てを認容する判断を出し(решение суда)、つまり、企業を倒産者と認定し、当該企業につき清算手続を開始させます。一方、債権者が、企業を裁判上の再生支援又は外部管財により再建させることを選択し、裁判所も同意する場合、裁判所は、申立てについての判断をせず、再建手続を開始する決定(определение суда)を出し、再建が成功した場合、当該再建手続を終了させ、申立てを認めるとも認めないとも判断せずに、倒産事件を「打ち切る」(прекращение производства по делу о банкротстве )という形で終了させます。

実際には、再建手続が採られることは稀であり、社会的影響が大きい企業に限られているようです。管財人不足や再建手続自体の問題も大きいと思われますが、事件開始時に再生すべき企業自体、事業自体がない、つまり、企業に財産が全くない場合が大半を占め、簡易な手続(Упрашенная Процедура Банкротства)で済まされているようです。この点、倒産事件を扱う裁判官らの話からは、倒産手続の利用よりも個別執行が先行すべきという傾向があるように思え、債権者は個別執行をし、経営者も企業を野ざらしにして姿をくらまし、税務機関といった債権者が帳簿処理のために倒産事件を申し立てる場合が多いように感じます(事件の9割程度が債権者申立て)。

ロシア倒産法関係:http://kie.blogsome.com/2009/03/19/laws-of-russia-and-central-asian-countries-in-japanese/

http://kie.blogsome.com/2009/04/10/amendments-to-bankruptcy-law/ 等