task-自分/法律-делаFebruary 19, 2007 25:00

こちらで話題になっている(?)倒産事件を一つ。倒産事件として話題になっているというよりは、ウズ政府が合弁会社の税制優遇措置を取り消し、過去に遡って追徴課税したという倒産に至る経緯が話題になった事件です。事件記録ではなく報道からの情報によるので不明な点が多々あります。

2006年8月、税務機関が、米系合弁会社「Zaravshan-Newmont」(ナボイ州ザラフシャン市所在)に対する4800万米ドルの滞納税(2002年乃至2005年)に基づき、ナボイ州経済裁判所に、同社の倒産認定を求める申立てを出しました。ザラフシャン・ニューモント社(債務者企業)は、その資本の50%を米国Newmont Mining社が、25%をウズベキスタンの国家(Госкомитет по геологии и минеральным ресурсам)が、25%をウズベキスタンの100%国有の採掘企業(НГМК:Навоийский горнометаллургический комбинат)が保有する金採掘会社です。 申立ては、8月10日に受理され、債務者企業につき倒産事件が開始されました。倒産事件が開始されると、企業は、監視手続にふされ裁判所の任命する一時管財人の監督のもとに置かれます。この事件では、倒産事件を管轄する国家機関の地方局の職員が一時管財人に任命されました。9月19日には、債務者企業の運命を決める第一回債権者集会が開催され、債務者企業の倒産を認定し清算手続を開始する決議が採択され(74条)、これを受けて、ナボイ州経済裁判所は、9月29日、債務者企業の倒産を認定し清算手続を開始する決定を下し、清算手続の期間を3ヶ月間と指定しました。当該決定が出されたと同時に清算手続についての効果が発生するとされているので(125条)、12月29日までに清算手続を完了させないといけないとも考えられますが、後に、清算管財人が、1月29日で清算手続期間が満了するので、期間延長を裁判所に申し立てる必要がある旨言及しています。確かに、当該決定に対しては、1ヵ月間、不服を申し立てることができるので(経済裁判所142条)、不服申立期間が経過した10月29日から3ヶ月と算定されているのかもしれませんが、清算手続開始効果の発生時期との関係はよくわかりません(注釈書作成途中の事件でしたが、この点、検討せずに作成が終わり・・。)。

2006年12月1日時点での負債額は1500億スム(約150億円)、うち612億スム(約61.5億円)が滞納税、債権者数は160社、うち50社がウズベキスタン国外の企業です。

現在、債務者企業は、債権者集会の決議により生産活動を停止していますが、営業(財産の複合体)として、不動産取引所における競売により売却に出されています(135条7項、110条)。2006年12月18日に、1728億5800万スム(約172億円)で競売にかけられましたが、有効な買受の申込みがなく不成立に終わりました。再度、競売を実施する場合の競売価格につき、債権者集会は減額しない旨決議し、2007年1月18日に、同価格で再度、競売が実施されましたが、一件の申込みもなく不成立に終わり、3月2日に、再度、競売が実施されます。この際の価格につき、債権者集会は、全く減額せず、1728億5800万スム(約172億円)で売り出すことに決めたそうです。ウズベキスタンの倒産法では、再建型では債権の全額弁済が原則ですが、債権者は、清算においても全額弁済を念頭においているようです。減額せずに誰が買ってくれるのか不思議でなりませんが、当該競売に参加する権利は、ウズベキスタンにおいて貴金属を採掘するライセンスを有する法人が有し、債務者企業の出資者でもあるНГМК、ウズ国家がコントロールする採掘企業(АГМК:Алмалыкский горнометаллургический комбинат)、そして、英系合弁会社Amantaytau Goldfieldsが有しています。ただ、アマンタイタゥ・ゴールドフィールズ社も、ザラフシャン・ニューモント社と同様、税制優遇措置を遡及的に取り消され、もめているので、НГМКが競落するのではないかと言われています。

ちなみに、注釈書作成において、日本側は、条文からすると、競売が1回不成立に終わっただけでは競売価格は減額できず、2回不成立であった場合は10%減額できると理解し、一方、この点の改正に関与したウズ側メンバーからは、135条13項に従い、それぞれ10%ずつ減額でき、結果、最高で20%減額できるとの反論がありましたが、先週面会した管財人の方は、1回不成立に終わった場合は135条8項(12項)に従い債権者集会はいくらでも減額でき、2回不成立であった場合は135条13項に従い10%だけの減額が認められるのであり、1回不成立に終わった場合にいくらでも減額できるのは問題であると話していました。運用統一への道のりは長そうです。

task-自分/法律-дела 25:00

ウズベキスタンの倒産法はどのようなのかと聞かれれば、まず、日本法とは全く異なると答えます。どこかの法制と似ているのかと聞かれれば、ロシア倒産法とほぼ同じであり、ロシアの法制を輸入したと答えます。これらは、プロジェクトでウズ倒産法の理解に苦しんだ者の偏見が多分に含まれているので、もう少し前向きな意見もあるかもしれません。

ウズベキスタン倒産法(全192条)は、法人に対する主要手続として、会社を清算して消滅させる清算手続(Ликвидационное Производство)、会社が経営権限を保持したまま営業を継続し経営を建て直す裁判上の再生支援(Судебная Санация)、会社の経営権限を第三者に移して会社を再建する外部管財(Внешнее Управление)を用意しています。日本でいう破産手続、民事再生手続、会社更生手続に相応するように思えますが、個々の手続内容が異なるだけではなく、倒産制度のコンセプト自体が異なっているように思われます。倒産事件は、経営状態が悪化した企業を倒産者と認定することを求める申立て(昔の日本法風にいえば「破産宣告」を求める申立て)により開始されます。事件が開始されると、裁判所から任命された管財人(Судебный Управляющий)が企業の財務状況を調査し、これらの調査結果を元に、債権者が企業を清算するか再建させるかを多数決で決定します(監視手続 Наблюдение)。債権者が、企業を清算すると決め、裁判所も同様に考える場合、裁判所は、申立てを認容する判断を出し(решение суда)、つまり、企業を倒産者と認定し、当該企業につき清算手続を開始させます。一方、債権者が、企業を裁判上の再生支援又は外部管財により再建させることを選択し、裁判所も同意する場合、裁判所は、申立てについての判断をせず、再建手続を開始する決定(определение суда)を出し、再建が成功した場合、当該再建手続を終了させ、申立てを認めるとも認めないとも判断せずに、倒産事件を「打ち切る」(прекращение производства по делу о банкротстве )という形で終了させます。

実際には、再建手続が採られることは稀であり、社会的影響が大きい企業に限られているようです。管財人不足や再建手続自体の問題も大きいと思われますが、事件開始時に再生すべき企業自体、事業自体がない、つまり、企業に財産が全くない場合が大半を占め、簡易な手続(Упрашенная Процедура Банкротства)で済まされているようです。この点、倒産事件を扱う裁判官らの話からは、倒産手続の利用よりも個別執行が先行すべきという傾向があるように思え、債権者は個別執行をし、経営者も企業を野ざらしにして姿をくらまし、税務機関といった債権者が帳簿処理のために倒産事件を申し立てる場合が多いように感じます(事件の9割程度が債権者申立て)。

ロシア倒産法関係:http://kie.blogsome.com/2009/03/19/laws-of-russia-and-central-asian-countries-in-japanese/

http://kie.blogsome.com/2009/04/10/amendments-to-bankruptcy-law/ 等